鬼頭 莫宏 『ぼくらの』1~6 小学館
ものすごく大雑把に言えば、中学生がロボット(?)に乗って地球を侵略する敵と戦う話。ただ、設定が作者はよくこんなの考え付いたな、というくらいはてしなく理不尽。しかも読んでいくうちにさらに理不尽な事実が明かされていきます。





・ロボットらしきものはパイロットの命がエネルギー源。したがって、戦いが終わるとパイロットは死亡します。
・いったんパイロットになると逃走は絶対不可能。戦いのときになると、どこにいようと強制的にコックピットに転送されます。しかも、戦いのときはパイロットの都合と関係なくやってきます。
・戦いに負けると地球を含む宇宙が消滅します。つまりパイロットに許された選択肢は地球を守って死ぬか、守れなくて宇宙ごと皆と一緒に死ぬかどちらか。パイロットになった時点で死亡確定です。
・制限時間は48時間。時間内に決着がつかないと宇宙は消滅します。

ちなみに、パイロットになる契約をしたとき、皆この事実は知りませんでした。ゲームだとだまされて、契約してしまったところで、後の祭り。これだけでも十分理不尽なんですが、さらに話が進むうちに

・敵は平行宇宙の地球人。相手も自分の宇宙の存続を賭けて戦っています。つまり、勝てば、相手の宇宙の何十億の人命が失われます。何者かが増えすぎた平行宇宙を減らすためにやっているらしいです。


読んだ感想。
絵柄があっさりめのせいか、思ったより鬱作品ではなかったです。それと、パイロットは全部で14人。1人ずつの日常と戦いと死が描かれていくことになるわけですが、読み続けていくうちに慣れてきます…。だんだん、死そのものには衝撃を受けず、話を落ち着いて読めるようになりました。慣れって怖いです。

と同時に日常でも理不尽な死がはたしてどれだけあるのだろうか、とも思いました。病気、事故、どんな形にせよ死は日常を続けたいと望む者にとって常に理不尽なものではなかろうか。パイロットたちが他の多くの人と違うところは自らの死と世界の存亡が直結しているところですね。それにしたって、死ななければならない当事者にとって、死後は周りの人々の人生にかかわれないことには変わりないわけで。チズの言葉が痛かったです。

ちなみに私、チズの姉の言葉は共感できませんでした。なにやら新興宗教のような……。チズの姉だけでなく、この作品中で語られた人生論系はどうも共感しにくいのが多かったですけれど。ロリコン教師田畑の教育哲学は論外としても、6巻前半の軍人の田中さんの人生論もなにかを受信しているようなわけわからなさで、どうにもこうにもダメでした。この作者はあんまり人生論系をストレートに語るのには適してないんでないかと。登場人物の日常に託して間接的に語られたほうがはるかに良いです。

それで、最後どうなるのでしょうね。パイロットは14人。14人目まで勝ち続けられるんでしょうか。作中にこんな漫画があった、最後は世界消滅で終わっていた、という内容がでていたので、それが動関係してくるのか関係してこないのかも気になります。
[PR]
by alcyon_sea | 2007-09-24 23:21 | コミック
<< 歳月 辺見 庸 『もの食う人びと 』... >>